月刊「このボカロ曲がすごい!」2018年2月
2月は28日間しか無いにもかかわらず、1月と同じく13曲がノミネートです。
レギュレーション
・ニコニコ動画でのVOCALOIDタグ基準に該当する楽曲
・2018年2月1日〜2月28日にアップロードされた楽曲
形式
・優勝 1曲: 本当に忙しい人はこれだけ聴いて優勝してほしい
・入選 曲数規定なし: 全部すごい
優勝
『メルティランドナイトメア』 - はるまきごはん
#VOCALOID殿堂入り #ミクトロニカ
文句なしに優勝でしょう。インターネットに花開いた総合芸術です。
1音目から伝わってくる確かな音作りに裏打ちされた、遥かな奥行きを持つ奇想天外のサウンドが、身を預けたくなる気持ちよさで流れ込む4分半。
はるまき氏特有の幼さとキレのある発音が同居するミクの歌声で、リズムトラックと確信犯的にリンクしてグルーヴを生むメロディが刻まれていくさまに息を呑むしかありません。
最高レベルのサウンドを組み立てるにとどまらず、視覚作品としても一つの宇宙を組み上げてしまうマルチな才能が遺憾なく発揮されたMVは必見。はるまきワールドの最新形を身をもって体感してください。ほんと全人類が触れるべき……。
はるまきごはん最古参の一人としては、腕を組んでウンウンうなずくしかない。
入選
『fate line』 - Last Order
#VOCALOID幻想狂気曲リンク
作り込まれた悲壮な雰囲気をまとうゴシック・シンフォニック・メタル・ロック。
ヘヴィなギターが支える妖しげなメロディパートと疾走感あふれるサビがひとつの世界観のもと同居し、壮大な物語を読んでいるような時間を味わわせてくれる一曲。
『ヒトメボレナイト』 - *Luna
#クラブで使えるボカロ曲リンク
コンスタントにハイクオリティなサウンドを送り出す*LunaによるトレンディHouse POP。
裏打ちのシンプルなトラックに、絶妙に力の抜けたハマり方の詞が合わさり、身体が自然に揺れるグルーヴを堪能させてくれます。
音に身を任せ目をつぶれば、そこはもう恋するディスコナイト。
『染哀歌』 - ちいたな
粗削りながら切実な愛を歌うバンドサウンドが刺さるデジタルロック。
哀しげな空気の塊をぶつけられるようなサビの迫力がやけに耳に残る一曲。
制作ペースが速い作者で、今後も楽しみです。
『太陽は少し眩しすぎるから』 - YURAGANO
強いビートと透明なのに昏いギターが不思議に絡み合う次世代ロック。
作者がサウンドを思い通りにコントロールしているということか、実際に聴いたときに感じるタイトルへの納得感が秀逸です。
『幼日』 - 猫アレルギー
印象的なギターリフとセンチメンタルなメロディが脳裏に懐かしい夕景を投影するようなポストロック。
手数の多いドラムがイントロから続くリフと絡み合うAメロに対し、サビはシンプルな構成に落とし込み、感傷を誘う切ないメロディを際立たせています。
『クスブリ』 - natural
思わず身体が揺れるオシャレサウンドの中にもどこかkawaiiを感じさせるバンドポップ。
グルーヴの間を縫うようなメロディラインに、ツインボーカルならではの魅力が発揮されています。
『天使』 - tama
#MikuPOP #ラーメンタイマー
布団にくるまって恋を想うような、ゆるっと&ふわっとなロック。
雛のころからマシュマロだけを与えて育てた斉藤和義はきっとこんな感じ(意味不明)
フレーズも歌声も脱力していながら、しっかり聴かせる音作りになっています。
『Shock Wave』 - ごーぶす
希望あふれるフューチャー風味のシンセポップ。
明るく広がるピアノの音が、時に寂しくなるほど広いインターネットの海を感じさせ、VOCALOID・ネット音楽シーンを謳歌する者たちへの讃歌として心に響いてくる一曲。
『ノンサイノ』 - 梨本うい
#VOCAROCK
説明不要の梨本ロック。
初投稿から9年目とのことで、いつにも増して愚直なメロディが確立されたワールドを感じさせてくれます。
黒いわだかまりをある種爽やかにも思える形で歌うスタイルは変わらない一方で、ぐちゃぐちゃに混ざった音と言葉がよりクリアに聞こえるようになった気がするのは、年月のなせる業でしょうか。
『ロキ』 - みきとP
#VOCAROCK #VOCALOID殿堂入り
四つ打ちキメキメなロックンロールで歌う愛のアジテーションソング。
もともと愛島(みきとP)の歌声の魅力が広まってほしいとも思っていたので、VOCALOIDとの男女ツインボーカルという形をここまで見事に決めてくると、惚れるなと言うほうが無理というもの。
ジャンルフリーな音の組み立てで、聴いてよし踊ってよしな一曲。
『猫の街』 - 青屋夏生
#VocaR&B #VOCALOIDにゃんこ入り #VOCALOID実写PV
ボカロR&Bの名手、青屋夏生による猫紀行。
見知った街も見知らぬ街も、猫を視野の真ん中に据えればスッと心に入り込む日常感で捉えられる。優しいエレピと大仰に聞こえてもおかしくないストリングスが包む口触りの良いリリックが、そんなメッセージで単調な日々のループを少し変えてくれる一曲。
この曲を聴いたあとには、いつもの家路でも、日常が旅になっていることに気づけるかもしれません。
『ロストアンブレラ』 - 稲葉曇
#VOCAROCK #マイリス巡回推奨
ハイテンポと仄暗い歌声で鳴らす慢性中毒性ロック。
ずっと好きなPですが、今回は特に「曇り」の名前は伊達じゃないと感じる一曲でした。マイリス巡回推奨です。
以上です。
3月も春の陽気に誘われて名曲がやってくる予感。
月刊「このボカロ曲がすごい!」2018年1月
VOCALOID楽曲年間トップ10を選ぼう!と意気込んで記録をつけ始めたところ、
今年始まって1ヶ月にして10曲を超える勢いで名曲が飛び込んできたため、
月刊「このボカロ曲がすごい!」の創設を決めました。
レギュレーション
・ニコニコ動画でのVOCALOIDタグ基準に該当する楽曲
・2018年1月1日〜1月31日にアップロードされた楽曲
形式
・優勝 1曲: 本当に忙しい人はこれだけ聴いて優勝してほしい
・入選 曲数規定なし: 全部すごい
優勝
『トオトロジイダウトフル』 - ツミキ
#VOCALOID殿堂入り #期待の新人
www.nicovideo.jp
昨年12月に彗星のごとく現れた期待のホープ(トートロジー)による2曲目。
開幕から存在を主張するカッティングフレーズにやられたら、もう抜け出せなくなっていることに気づくでしょう。
打ち込みとギターが絡み合う現代的な四つ打ちバンドサウンドに、つい口ずさみたくなる都会的な符割りの詞とメロディが乗れば、中毒性と疾走感の数え役満で思わず体が動いてしまうこと間違いなし。
不条理に堂々巡る脳内言語をシニカルなサウンドで歌い飛ばすスタンスが、いつか叫ばれた《ボカロっぽさ》を煮詰めた結晶が刺々しくもリスナーが求めていた形に花開いたような印象を与える一曲です。
入選
『anywhere door』 - No.85, ぱたぱた
#VOCALOID処女作 #期待の新人
www.nicovideo.jp
出たな、「初投稿」、そこはかとない玄人力を感じるぞ。
爽やかで疾走感たっぷりなバンドサウンドに仕上がっていますが、肝はミクの声が綺麗に響く音域を存分に活かした気持ちのいいサビではないでしょうか。
歌モノにおけるボーカルの力を感じさせてくれる一曲です。
個人的にはやはりこういう曲を声優ソングで聴きたい。
『マシュマリー』 - MIMI
#ピアノミク #マイリス巡回推奨
www.nicovideo.jp
独特の雰囲気を漂わせながら王道を押さえた名曲の数々を送り出しているMIMIさんによる最新ピアノポップ。
切ないメロディとキュンとくる歌声が、軽快なリズムトラックとピアノフレーズに包まれて心に優しく刺さる一曲です。
MIMIさんはマイリスト巡回推奨です。ぜひ。http://www.nicovideo.jp/mylist/55458052
『後の祭』 - 蜂屋ななし
#VOCALOID和風曲
www.nicovideo.jp
正月一日から幸先のいい出会い、ボカロ初詣といった情勢。
ダークな和風スウィングHouseという珍しい組み合わせで、どこか異世界感を覚える不思議な雰囲気が漂います。
思わず体が横に揺れる、ゆったりと曲の世界に誘われる妖しい魅力の一曲。
『他人事の音がする』 - あめのむらくもP
#VOCALOID殿堂入り #期待の新人
www.nicovideo.jp
偶然か必然か、『トオトロジイダウトフル』と同じく昨年12月に降ってきたルーキーの2曲目。
こちらも納得の殿堂入り。
人工的な音も有機的に響く、軽妙な奥行きをもって組み立てられたサウンドで、曲の持つ独特な世界に引き込まれるように気持ちよく聴ける一曲。
『ルーシッド・ドッペルゲンガー』 - nonemu
#VOCAROCK
www.nicovideo.jp
nonemuさんは以前から聴いてきていますが、もっと伸びていいはずだと思う曲が数多くあります。
そんな中の新曲、期待通りのひたむきなロック。
走り出して止まれない想いがノンストップで爽快なサビに流れ込むような、切なくも気持ちのいい一曲です。
『童話「暗い雨」』 - Haniwa
#POEMLOID #ポストミック
www.nicovideo.jp
Haniwaさん。好きです。
バリバリに響くギター・ベース・ドラムと、滔々と押し寄せるVOICELOIDのポエトリーリーディングが脳と感情を揺さぶるHaniwaサウンドの真骨頂がまたひとつ。
映像作家としての面が存分に発揮された底知れぬ視覚世界もぜひご覧あれ。
感情に圧し潰されそうになりながらも聴き終えれば不思議と解放感に包まれる一曲。
あなたもマイリストを巡って脳を解放してみませんか?個人的に1曲オススメするなら『宗教に犯されているのではないか。』です。 http://www.nicovideo.jp/mylist/44470671
『あるいは酒でいっぱいの浮世』 - てにをは
#VOCALOID居酒屋入り
www.nicovideo.jp
とりあえず生。バーボン焼酎スコッチ泡盛ウィスキーテキーラ電気ブラン、ピンときたら一杯聴いていきませんか旦那。
てにをは節と言える言葉遊びの奔流は、何飲んだらこんな詞が書けるんだ、と思わされるレベル。
ベースの効いたリズムトラックも後押しし、酒坏から零れそうな情報量が押し寄せる一曲です。
『エンパシックレイン』 - SEVENTHLINKS
www.nicovideo.jp
ヘヴィなサウンド、こういうジャンルは何て呼ぶんでしょうか?
ヘヴィなギターにピアノとストンリングスという編成から生まれる、キャッチーながらひと捻りされた癖を感じる一曲。
『YURARIRA』 - 眉炉
www.nicovideo.jp
daniwellリスペクトですよね、おそらく。
ミニマルな構成に繰り返す日々を転写するような、ケ・セラ・セラ精神の人生賛歌。
まあ、小難しい話はどうでもいいんですけどね、な一曲。
『ブラックゴールド』 - Guiano
#お洒落なIAうた
www.nicovideo.jp
アコギで鳴らすダークな曲ってやっぱり良いですね。
個人的にはスキマスイッチというか大橋卓弥的なところを感じたりもします。
路地裏的な乾いた響きのロックといった趣の一曲。
『アノマラス』 - Guiano
www.nicovideo.jp
『デザイア:re』 - Guiano
www.nicovideo.jp
同作者の1月新曲を続けて2つ。
どちらも泥臭い重めのバンドサウンドと都市的な雰囲気が同居した独自の世界観を発しています。
突き抜けていくようなサビの気持ちよさを感じられる二曲。
以上、2018年1月度の新曲からお伝えしました。
2017年「楽曲」10選 総合の部
やっぱり音楽は最高だな!
2017年総合「好き!!」チャートです。
※以下、数字は順位ではありません。
※前2記事でコメントした楽曲を省略した結果、10選とはなんだったのかという記事になっています。
1. 大橋彩香
『ワガママMIRROR HEART』
《声優本人名義歌唱》部門参照。
2. 天道花憐(CV.金元寿子)&星ノ守千秋(CV.石見舞菜香)&亜玖璃(CV.大久保瑠美)
『GAMERS!』
TVアニメ「ゲーマーズ!」OPテーマ「GAMERS!」試聴動画
2017年第3クール放送のTVアニメ『ゲーマーズ!』OPテーマです。作詞・作曲・編曲:まふまふ。
87秒という型のあるTVアニメのOPテーマとして、最強の完成度を誇る楽曲。
インパクトたっぷりの頭サビ→期待感を持たせる静かなブリッジ→癖になるキャッチーなイントロ→セリフのようにキャラクターボイスの魅力が押し出されるメロディ感の薄いAメロ→伸びる歌声から入りキメで繋ぐBメロ→作品のハチャメチャな空気を表したように賑やかなマーチングビートのサビ→さらにTV尺にしっかり収まるダメ押しのイントロフレーズ
まふまふ氏には無限にアニメソングを書いてほしいですね。
歌声にも三者三様な魅力が溢れています。やはり金元寿子さんのハイトーンが好き。しっかりソロパートを用意するキャラソン主題歌は信用できる。
歌詞の細かいハマり方にも注目して聴いてもらえると、作曲者の高い技能を感じられると思います。
3. まふまふ
『輪廻転生』
[MV] 輪廻転生/まふまふ [オリジナル曲]
輪廻転生!!!!(大声)
上で話題にしたまふまふ氏です。
こういう音楽が好きです。無限に聴けるんですよね。
彼のこのスタイルが円熟期を迎えているような気がします。
何も考えたくない人集合!まふまふ曲を聴いて踊り狂おう!狭い部屋で足をぶつけないようにだけ注意だ!
ちなみに2017年リリースの彼の手による作品としては『君子危うくも近うよれ』(【MV】A応P「君氏危うくも近うよれ」Short Ver. - YouTube)などがあります。
4. TrySail
『adrenaline!!!』
《声優本人名義歌唱》部門参照。
5. kemu(堀江晶太)
『拝啓ドッペルゲンガー』
【HD】拝啓ドッペルゲンガー 【KEMU VOXX】Dear Doppelganger
王の帰還。
異の唱えようもなく2010年台前半のVOCALOIDシーンの覇者たるkemu、その4年ぶりにとなる新曲です。
投稿と同時に以前から噂されていた堀江晶太との同一人物説を公認しました。
VOCALOIDシーンに浸かっていた当時の中高生の例に漏れず私が青春の音楽生活を捧げたkemu。
突然すぎるその復活には、しばらく何も手につかなくなるほどの衝撃がありました。
堀江晶太・PENGUIN RESEARCHとしての活動を追ってはいましたが、変わらない音楽性と4年分のサウンドの進化を実感できるこの曲には格別の感情を抱きます。
6. サジタリアス
『Raise the FLAG』
《二次元アイドル》部門参照。晶太。
7. TOKOTOKO (西沢さんP)
『ハングリーモンスター』
ハングリーモンスター / hungry monster - TOKOTOKO(西沢さんP) feat.初音ミク
実のところ2017年最もリピート回数が多かったのはこの曲だと思われます。
西沢さんPもそれこそ中高生のころから聴いていますが、『僕らの街に愛が降る夜だ』(僕らの街に愛が降る夜だ / bokurano machini aigafuru yoruda - TOKOTOKO(西沢さんP) feat.GUMI - YouTube)をはじめとして2017年に来て改めてよく聴くようになったアーティストです。
この曲は……根本的に好き。”これ”を聴くために音楽を聴いている!と思う曲のひとつです。
シンプルなアレンジで映えるメロディとそれにハマる詞の良さを体感してみてください。
こんな曲が作れる人間になれないものでしょうか。それこそこの曲の「ミスチルの桜井になりたい」という感情かもしれません。
8. 東山奈央
『オトメイロ』
東山奈央 1stアルバム「Rainbow」クロスフェード動画 Vol.1
《声優本人名義歌唱》部門では『君と僕のシンフォニー』を挙げたので(趣旨崩壊)こちらも大好きな曲をピックアップ。
どこかsasakureサウンドを彷彿とさせるAメロから飛び出す疾走感満載な和メロのサビ。
試聴の時点で好きになる要素だらけで、アルバムへの期待が否応なく高まったのを覚えています。
ボカロ世代なら間違いなくハマると思います。一聴の価値あり。
9. 伊藤美来
『ワタシイロ』
《声優本人名義歌唱》部門参照。
10. ライブレボルト
『Darling Soldier』
《二次元アイドル》部門参照。
11. f*f (本渡楓, 下地紫野)
『Melody Ring』
無敵のkzサウンドを本渡・下地の伸びやかで力強い歌声が引っ張る、最高に気持ちいい一曲。
タイトル負けしないメロディの良さと、耳に心地いいエレクトロサウンドで構築される隙のないアレンジと、そんなパーフェクトな曲にも全く圧し潰される様子のないボーカル。
こんなハイレベルな領域で戦える楽曲の存在はもっと話題になっていいはず。
両A面のもう片方『ホシノキズナ』は同じくkzサウンドで19人もの声優をボーカルに迎えたハッピーハードコア。こちらも2017年屈指の名曲だと思います。
12. 箱根彩耶(CV: 長江里加), 有馬輪花(CV: 本宮佳奈), 奏・バーデン・由布院(CV: 和多田美咲)
『SILENT VOICES』
《二次元アイドル》部門参照。
13. fourfolium
『ググッとワーク☆彡』
アニメ『NEW GAME!』キャラクターソングアルバムから主題歌も歌うキャラクターユニットfourfoliumの一曲。
同じくfourfoliumの『向上上々ハイジャンプ↑↑↑↑』と共に、作編曲の奥井康介氏への信奉がより深まる曲になりました。本当に気持ちのいい曲を作る人だと思います。
疲れたな、と思うときに聴くとやはり、こう、歌詞も含めて、すごく効きます。
14. AZALEA
『GALAXY HidE and SeeK』
【試聴動画】ラブライブ!サンシャイン!! AZALEA「GALAXY HidE and SeeK」「INNOCENT BIRD」
宇宙ですよね。やっぱり二次元アイドルは宇宙なんだと思います。
この曲に「銀河」をモチーフにした詞を付ける畑亜貴の天才っぷりといったら。
聴いていてなんだか寂しくなるこの感覚、曲の持つ意図にまんまとはめられる気持ちよさがあります。
遠く夜空を眺めながら聴きたくなるような一曲です。
15. 夏川椎菜
『ナイモノバカリ』
《声優本人名義歌唱》部門で1stシングル表題曲『グレープフルーツムーン』を挙げたため(再犯)、2ndシングルc/wを紹介。
技能的な面でナンスの新しい声を感じることができる一曲です。
まっすぐな若さとひねくれたユーモアが渦巻く、今の彼女にしか歌えない”キャラクターソング”なんじゃないかと思います。
彼女の言葉を表現する力の高さが、聴く人に歌詞の良さを伝えてくれることでしょう。
21歳の歌う「この場所で/あの場所を/キラキラ/見上げてる」なんてそりゃあ未来にエモさを感じずにはいられない。
16. SawanoHiroyuki[nZk]
『gravityWall』
SawanoHiroyuki[nZk]:Tielle & Gemie 『gravityWall』(Short Ver.)
サビだ……からの……サビだ!
この曲をきっかけに澤野弘之研究をしたりもしました。
最低限に近いバンドサウンドで、凝ったコードが出てくるわけでもないのに、作り込まれた世界観が響いてきます。
やー、すげえな(わかってない)
年の瀬に滑り込みで書き連ねていくにつれて、語彙が死んでいくのを感じました。
2018年はトレーニングの意味も兼ね、ちょくちょく自分の好きなものについてまとまった文を書いていきたいと思っています。
2018年もたくさんのいい音楽との出会いがあることを願って。
2017年 「アニメ」10選
こんにちは。
例年のごとく「今年はあんまりアニメ見なかったな〜」と思いきや結局割と見てました。
作品に順位は付けられませんが、
私が今年「好き!!」と感じたアニメを10作品挙げていきます。
※以下、数字は順位ではありません。
1. 第3クールTVアニメ
『プリンセス・プリンシパル』
TVアニメ『プリンセス・プリンシパル』番宣CM第2弾
以上です。
嘘です。スパイは嘘をつく生き物。
イベ券とかキャラソン特典とか全く関係なく円盤を買うのはこの作品が初めてです。最終話放送の直後には「これは当然円盤を買うしかないな?」という気持ちになっていたほど、明らかにのめり込んでいました。
1話完結のスパイサスペンス、JK百合カップリングドラマ、WW1期歴史ファンタジー、スチームパンクアクション、文字で見ると詰め込みすぎにも思えるたくさんの要素が、精緻な画と音の作り込みのおかげで互いに作品としての魅力を高め合っています。
この作品に出会えたという一点だけでも今年もアニメを見ていて良かったなと思えるほどの、ハイレベルなエンタテインメントです。
みんな円盤を買いましょうね~。
2. 第2~3クールTVアニメ
『サクラクエスト』
TVアニメ『サクラクエスト』ノンクレジットOP/「Morning Glory」(K)NoW_NAME
①キャスト発表で注目せざるを得なくなる。ちか・こし。94年度七瀬彩夏さん。言わずもがな上田麗奈さん。三者三葉イベがエモかった田中ちえ美さん。
②先行上映会でカップリング的な可能性を見出す。
③EDの画が良すぎる。
④回を追うごとにご都合主義でない丁寧な描写に引き込まれていく。信頼のPA Works。
⑤『龍の歌』。無事号泣。田中ちえ美さん初歌唱。イベントで聴けて昇天。
2クールありますが、今からでも「女の子が可愛い」という気軽な入り口で視聴してみてほしいと思います。騙されたと思って。ぜひ。
3. 第3クールTVアニメ
『ゲーマーズ!』
今話題のバーチャルYoutuberもイチオシの”すれ違い青春錯綜系ラブコメ”。
改めて、ラブコメっていいよね……いい……という気持ちにさせてくれた作品でした。
特に5話分をかけて散らされた勘違いの種がパズルのようにワンシーンに収束していく、怒涛の第6話は必見です。オンエア直後にもう一度録画を見てしまうほどの、史上稀に見る神回でした。
メイン5人の配役も、主にツッコミとなる男子たちに潘めぐみ・豊永利行、華を添える女子たちに金元寿子・大久保瑠美・そして2017年大躍進の癒やしボイス新人石見舞菜香という、ラブ要素もコメディ要素も面白くならないわけがない名采配だったのではないでしょうか。
4. 第4クールTVアニメ
『Just Because!』
オリジナルアニメ『Just Because!』予告3
青春恋愛群像劇、メインキャラクターが奇数、=優勝。
受験を前に漠然とした緊迫と弛緩の入り交じる高3の冬という時期、受験期特有の人が少ない校舎、冬の早い日暮れと長い夜、喧騒から一定の距離を置く湘南モノレール沿線という舞台、坂道の多さ、そうして綿密に練られた空気感すべてが、青春の焦燥とも切なさともなんとも言い難い”リアルな”恋愛劇を成立させています。
負けヒロインは優勝(語義矛盾)。小宮恵那、ああ小宮恵那、小宮恵那。心の一句。
5. 第4クールTVアニメ
『ブレンド・S』
TVアニメ「ブレンド・S」第2弾PV
視聴前は女の子がただただ可愛い系かと思っていましたが、関係性のオタク歓喜でした。
百合、青春ヘテロCP、おねショタ、女装ヘテロCP、身長差、年齢差、国際CP、なんでもござれ!
夏秋推し……いや夏冬も捨てがたいんですけど。百合かつおねショタとかいう天才設定のひでみうも推せる。
種﨑さんや徳井さんら中の人の魅力を再確認もできました。徳井さんがあれほど器用だとは知りませんでした。
6. [再]第3~4クールTVアニメ
『天元突破グレンラガン』
そうですね、10年前のアニメなんですけどね。
名前はよく見るけど熱いってこと以外実はよく知らないな、という状態だったのですが、今年再放送で初めて視聴しました。
ドチャクソ熱かったです。
「熱い展開の見本市」と表現したくなるほどに熱くならざるを得ないシーンがてんこ盛りで、アニメにおける、物語における”熱さとは何か”を思い知った気持ちになりました。
終盤で宿敵と共闘とか、時間軸と舞台設定が大きく飛ぶ第1幕と第2幕とか、実在の科学用語が飛び交う突拍子もない設定とか、我、こういうの、好き。
7. 第3クールTVアニメ
『NEW GAME!!』
TVアニメ「NEW GAME!!」PV @nganime #ニューゲーム
NEW GAME!!、徹底してCP推しでありながら同時に一人ひとり誰もが変わっていく物語で、毎話気持ちがぎゅっとなった
— ろくげん (@ex_odayaka) 2017年9月26日
こういうことなんだと思います。
形として第1期よりさらにカップリングの魅力を押し出していく表現になっていて、ありがてぇ……という気持ちで毎話見ていました。
そして、そんな形を通して伝わってくる物語は、楽しさ、悔しさ、憧れ、ライバル心……周囲の人と触れることで抱いた様々な気持ちによって、一人ひとりが変わっていく物語だったのではないかと思います。
笑って、泣いて、怒って、喜んで、誰もが少しづつ、しかし確かに変わっていくのだと、本当の意味で当たり前の日常が描かれている全12話です。
8. 第3クールTVアニメ
『活劇 刀剣乱舞』
『活撃 刀剣乱舞』劇場版、始動!
ufotableによる圧倒的な作画の嵐。
推しキャラがこんなにカッコよく動いたらキャパオーバーで無理の塊になってありがとうの世界と化すだろうなあ、などと原作に詳しくない身でも羨ましく思うほどのクオリティでした。
ため息が出るほど画面が美しくクールな最終話、必見です。
9. 劇場アニメ
『ご注文はうさぎですか?? ~Dear My Sister~』
ご注文はうさぎですか?? ~Dear My Sister~ 公開直前ぴょんぴょんPV
日常系アニメというものをようやく本当に理解したのかもしれないと思いました。
劇場版ということで様々な事件も起こるのですが、むしろ何も起きていないラストシーンで「見てよかった。良いものを見たなあ」と感じるような、そんな作品でした。
改めて考えると、「ただいま」って”日常”の象徴のような言葉ですね。
10. TVアニメ(昨年より継続)
『アイカツスターズ!』
TVアニメ「アイカツスターズ!」ダイジェストPV
エモーーーーーーショナル。
アイドルの物語、女の子の物語、そういった枠にとどまらず、人の成長物語としての普遍的なドラマがそこにはあります。
まだ間に合います。彼女たちの物語をリアルタイムで追ってみませんか?
入選作品が一年の後半に偏っていて、記憶が半年しか持たない疑惑がありますね。
2018年も、夢中になれるアニメに出会えることを願って。
2017年「声優本人名義歌唱曲」10選
声優の本分は演じることであり、2017年もお芝居を通して多くの魅力的な声優に出会えました。
一方で、そんな彼ら彼女らが思い思いの姿勢で向き合うことになる”本人名義での歌唱”という仕事を通しても、声優という職業に対する個人たちの思いを読み取ることができるのではないかと思います。
そんな2017年の声優たちの歌から10曲。
※以下、数字は順位ではありません。
1. TrySail
『adrenaline!!!』
TrySail 『adrenaline!!!』-Music Video YouTube EDIT ver.-
MVをコマ送りするオタクと化しました。
奇をてらうわけでもなくまっすぐリスナーの心を掴み、タイアップとしても高レベルで成立するバランス感覚はさすが大手といった印象で本当にあっぱれだと思います。
それでいてライブ定番曲という役割まで持たせているのだから、まったく完璧と言うほかないでしょう。
他アーティストにも追随してほしいプロデュース力。
そういえば”デコ出しーな”になる前の夏川さんですね。どちらも好きです。
こちらもどうぞ:『かかわり』
recochoku.jp
2. 斉藤壮馬
『ヒカリ断ツ雨』
斉藤壮馬 『ヒカリ断ツ雨』(Music Clip Short Ver.)
作品補正もあるのかもしれませんが、男性声優曲で唯一のランクインです。
サビをひとたび聴けば、壮馬斉藤、歌いけるやん!と感じてもらえると思います。
歌声の持つセクシーさを、壮大に響くストリングスの中でカッコいい方面に活かした、”彼のために作られた”シンフォニックロックになっています。
3. 内田真礼
『Smiling Spiral』
内田真礼ミニアルバム「Drive-in Theater」/「Smiling Spiral」MV short Ver.
最初にハマったときは底抜けに明るくノれる田淵ロックとして聴いていたんですが、実はめちゃくちゃなエモさを秘めているということに気がつきました。
ライブの終幕を彩るさまを想像して(諸事情でライブ行ってないので)聴くと、不思議と涙が溢れてくると思います。私の涙腺がガタガタなだけかもしれません。
4. 東山奈央
『君と僕のシンフォニー』
東山奈央 「君と僕のシンフォニー」 Music Video (2chorus)
どストライクな曲に出会ったとき、大げさにも「音楽を好きでよかった!」と思ったりするんですが、まさにそんな思いをした一曲です。
爽やかかつどこか切ないメロディが、ひたすらまっすぐに心に飛び込んでくるピアノロック。
来年にはこれを武道館で聴けるんですよね。想像するだけで心がギュッとなるんですが、当日とか大丈夫ですかね。
MVをぜひ見てください。サビ前のジャンプ。エモい。
こちらもどうぞ:『オトメイロ』
東山奈央 1stアルバム「Rainbow」クロスフェード動画 Vol.1 - YouTube
5. 伊藤美来
『ワタシイロ』
「ワタシイロ」Teaser / 伊藤美来
「ワタシイロ」Special Trailer / 伊藤美来
2つ続けてご覧ください。
Teaserで流れる曲は『Overture ~Invitation to the aquaveil~』、またSpecial Trailerではどの製品にも収録されない特別編集版で『ワタシイロ』のMVが展開されています。
およそ3日の間を空けて公開されていったこれらの映像に、恐ろしいほどわくわく、ぞくぞくする感覚に襲われ、”ソロアーティスト伊藤美来”の在り方に完全に虜にされてしまいました。
『Shocking Blue』に出会いこんな考え
伊藤美来ソロが「伊藤美来がこんな曲を歌います」じゃなくて「こんな曲を歌うとこんな伊藤美来になります」だという心意気が見えてきたのですごくよい
— ろくげん (@ex_odayaka) 2017年4月2日
にたどり着いた2017年、その年内にソロ活動がこんなにも素晴らしい形でアルバムとして結実するとは、本当に良い制作陣に恵まれたんだなと思います。
伊藤美来ソロはこの形にたどり着いた以上、どんな曲が来ようとも「伊藤美来の曲」となり、新しい「伊藤美来の色」を見せてくれるのだと、希望を持って言えるでしょう。
来年もさっそくそんなリリース(守りたいもののために / 伊藤美来 - YouTube)が控えているようで、楽しみはまだまだ続きます。
6. 大橋彩香
『ワガママMIRROR HEART』
【試聴動画】大橋彩香5th Single「ワガママMIRROR HEART」Music Video
ありがとうございました(完)(オタク)(感謝の世界)(これぞ希望の光)(サビ後Dサビで差をつけろ)
”これ”を聴くために自分はアニメ・声優ソングを聴いているんだ!と自覚してしまった無欠なる一曲。
オタクみーーんな今年の1曲にこれ挙げてる。わかる。
7. 夏川椎菜
『グレープフルーツムーン』
グレープフルーツムーン | ビデオ | ソニーミュージック オフィシャルサイト
夏川さんソロデビューが今年なんですね。
彼女自身が強烈な個性で押していくようなキャラクターではないと思うので、ソロ活動で何らかの路線を押し出せるのだろうか、といらぬ心配をしていたりもしましたが、このシングルが全くもってふっ飛ばしてくれました。
シングル収録の2曲目『Daisy Days』が理想的な自己紹介ソングになっていて、3曲目『gravity』が明るく親しみやすい、けれどちょっと手の届かない憧れ、といった”夏川椎菜”の像を描き出す曲になっている中で、この『グレープフルーツムーン』を表題曲に持ってくる感覚が、彼女のソロ活動の全体像を物語っているように感じます。
この感覚は2ndシングル『フワリ・コロリ・カラン・コロン』にも引き継がれているのではないでしょうか。ぜひ、c/wの『ナイモノバカリ』を聴いてほしいと思います。
8. 雨宮天
『Fleeting Dream』
recochoku.jp
たぶん雨宮天ソロの中で一番好きです。
先日のライブではエンディングのBGMに使われていて、明るい幕引きといった趣の曲をこのタイミングで獲得したのは必然の意図があったのかなとも思いいます。
飛行機の離陸時に聴くととてもワクワクするのでおすすめです(?)
9. every♡ing
『ちゅるちゅるちゅちゅちゅ』
【every♥ing!】ちゅるちゅるちゅちゅちゅ MV【Short ver.】
こちら、ご注文の女性声優デート映像になります。
女の子が二人いる絵で視線が互いを捉えているのが百合、視線がカメラを向いているのがハーレムものとはよく言ったものですが、女性声優デート映像で言えばこちら(Pyxis(ピクシス) / Pop-up Dream - YouTube)が前者、そして『ちゅるちゅるちゅちゅちゅ』は後者にあたるでしょう(次元の混同)。
2人が可愛いのはもちろんなんですが、曲自体もクオリティの高い丁寧なつくりになっています。
低音の効いたシンプルなサウンドでよくわかるメロディの良さに、サビでもキラキラ感を抑え、曲だけでも”ワクワクと緊張が入り交じる3回目のデート”のような気持ちを感じることができる一曲になっていると思います(オタク)。
こちらもどうぞ:『笑顔でサンキュー』
【every♥ing!】笑顔でサンキュー! Music Video (Short ver.) - YouTube
10. 小澤亜李(featured by ヒゲドライバー)
『マカロンが食べたい』
soundcloud.com
これもまた「エモい」のひとつの形。
紛れもなく”小澤亜李”本人の歌声なんですよね。
自分の仕事に対してまっすぐすぎるほどまっすぐな彼女の姿勢を様々な媒体で受け取った1年でした。
そんな彼女の初めての本人名義歌唱は、初の主演を務めた『月刊少女野崎くん』で彼女がキャラクターとして歌唱したEDテーマ『ウラオモテ・フォーチュン』のヒゲドライバー氏からのオファーで実現されました。
作品だけでなく、彼女自身も時を越えて周囲から愛され続けているということがこの一曲を通して可視化されたように思えます。
というわけで2018年も、より多くの声優たちが、本人名義での歌唱という機会を通して様々な視点に出会うことのできる年であることを願って。
2017年 「二次元アイドル楽曲」10選
こんにちは。
私が「二次元アイドルのオタク」とか言い始めたのも考えてみれば2017年かもしれません。
というわけで、
私が今年「好き!!」と感じた二次元アイドル楽曲を10曲挙げていこうと思います。
※以下、数字は順位ではありません。
1. アイドルマスター ミリオンライブ!より
『Raise the FLAG』 - サジタリアス[所恵美(藤井ゆきよ), 舞浜歩(戸田めぐみ), 真壁瑞希(阿部里果)]
【アイドルマスター ミリオンライブ!】「Raise the FLAG」「プリムラ」試聴動画
これ今年ですか。ミリオン武道館が今年っていうのも信じがたいですね。
作編曲:堀江晶太です。次はカッコいい系のCDになりそうだし、晶太堀江来ないかな〜とか言っていたら本当に、しかも担当(所恵美)に来てしまい、当初は感情が大事故でした。
試聴では公開されていなかった2コーラス目をCDで聴いた際、笑えるくらい展開が想像と一致していたのもいい思い出です。晶太すき。
普段の甘い声とはうって変わり熱く直情を歌い上げた所恵美、ミリオン屈指のイケメンとして待望のロックを歌いこなしてみせた舞浜歩、マジカルボイスそのままに普段のポーカフェイスからは予想もつかない激情の歌声を披露した真壁瑞希、歌唱メンバーそれぞれの新しい一面を引き出した「新しい時代」の一曲になりました。
堀江晶太による2曲目のミリオンライブ楽曲『FiaryTaleじゃいられない』(なんとこちらも所恵美歌唱)もあわせてどうぞ。
――動かなきゃ何一つ変えられないから 新しい時代…掲げろ!
2. アイカツスターズ!より
『MUSIC of DREAM!!!』 - せな, りえ, みき, かな from AIKATSU☆STARS!
アイカツスターズ!ミュージックビデオ『MUSIC of DREAM!!!』をお届け♪
アイカツスターズ!より、第1クールOPに重なる歌詞と映像の演出がにくい、星のツバサ~太陽のドレス編OPテーマをピックアップ。
やはりアイカツスターズは少年マンガだった……?1つの夢を叶えた主人公がその夢の先どこへ向かうのか、これまでとこれからのすべてを歌い上げるような力強い一曲です。
ずっと「アニメ化長編少年マンガの『ラスボスはメチャクチャ強いけどこれまでの道のりが僕らに自信をくれる。勝てそうな気がする』最終クールOP」の雰囲気って言ってるんですが伝わりますか。
85話の虹野ゆめによるライブシーンは集大成と言えるような迫力でした。86話のエルザのライブシーンと対比しても、星のツバサ編の軸となる両者のアイドル性の違いを象徴する楽曲になっていると言えるのではないでしょうか。
――まだ見ぬ私のことを信じてくれるひと あなたに届けたい音楽を奏でよう
3. 温泉むすめより
『SILENT VOICES』 - 雪月花[箱根彩耶(cv: 長江里加), 有馬輪花(cv: 本宮佳奈), 奏・バーデン・由布院(cv: 和多田美咲)]
【試聴動画】SILENT VOICES(温泉むすめ 2ndミニアルバム「追憶カレイドスコープ」収録曲)
声優歌唱によるキャラクターソングとしてギリギリを攻めるどころか完全にオーバーキルな衝撃の一曲。
全編にわたり3人の歌声が3本のメロディに分かれてハモる、ハモりにハモる。
しっとり聴かせる和メロから超高音コーラスまでを駆使して、「神に捧げる歌」という謳い文句も納得の疾走感満載な和トランスサウンドが展開されます。
あ、温泉むすめさんは二次元アイドルコンテンツに含めて問題ないですよね。
――命あるすべての人よ あなたの手は何を望んでますか
4. Re:ステージ!より
『キライキライCЯY』 - 市杵島瑞葉(CV: 田澤茉純)・長谷川みい(CV: 空見ゆき)
【Re:ステージ!】KiRaRe 1stアルバム「キラリズム」試聴動画
Re:ステージ!の6人組ユニットKiRaReの1stアルバムから、3年生CPコンビのデュエット曲。
夢見がちな心と自信を持てない自分の間で揺れ動く乙女心を切なくも軽快なサウンドに詰め込んだ、カワイイってこういうことだよな。と思ってしまうまさしく”アイドルソング”。
キャラクターソング:アイドルソング=2:8くらいの、気軽に楽しめると同時に深読みも誘うバランスが”二次元アイドルソング”として気持ちいいと思うようになった2017年でしたが、この曲はまさにそんなバランスを押さえていると思います。
同アルバム収録の、エレクトロkawaiiサウンドの名曲『ク・ルリラビー』もよろしくどうぞ。
――夢の中の私はカワイイハズ!だから夢に迎えにきて
5. ライブレボルトより
『Daring Soldiers』 - ライブレボルト
ライブレボルト 1st Single - REVOLUTIA / Daring Soldiers (試聴MV)
クリエイター事務所TOKYO LOGIC擁する2.5次元アイドルコンテンツ『ライブレボルト』から、1stシングル表題曲。
とにかくカッコいい。ヒゲドライバーxゆよゆっぺxPowerless、そりゃボカロ世代にはブッ刺さって当然じゃないですか。
キメだらけの強烈なイントロ、しっかり落とすAメロ、溜めから早口フレーズに移るBメロ、サビ前のブレイクにかぶさる「Yeah!!!!!!」、4536進行に乗る最高に気持ちいい譜割りのメロディ、完璧な構成がひたすらカッコいい。
また、CDジャケットで有名アーティストのパロディをしたり、DJキャラの中の人が実際にDJプレイを行う時代の先を行くスタイルなど、音楽が好きな人たちが作っているコンテンツという印象で、2018年も注目しがいがあるのではないでしょうか。
――こっから Stand up! まだ強くなるって決めたんだろう?
6. ラブライブ!サンシャイン!!より
『HAPPY PARTY TRAIN』 - Aquors
【試聴動画】Aqours 3rdSingle「HAPPY PARTY TRAIN」
実はサンシャインのアニメは(まだ)見られていないんですが、それにしてもエモい。
ピアノフレーズのイントロから徐々にサビの盛り上がりへと導かれるお手本のように綺麗な展開は、それだけで涙するに十分なエモーショナルさです。
ソロパートで繋いでいくメロディがサビで初めて9人のユニゾンになり一気に厚みを増すという、ユニットソングならではの武器もエモい。
MVではオチサビで暗闇の中に光る衣装が浮かび上がるんですが、リアルのライブでも同じように光るそうじゃないですか。そんなのエモいに決まってませんか。
よく知らないはずなのに歌詞までエモいのはなぜなんでしょうか。二次元アイドルの普遍的なエモさを持っている楽曲のような気がします。
――知りたいのは素晴らしい夜明けと 切なさを宿す夕焼け
7. アイドルマスター シンデレラガールズより
『さよならアンドロメダ』 - 渋谷凛(福原綾香), 森久保乃々(高橋花林), 大和亜季(村中知)
【楽曲試聴】「さよならアンドロメダ」(歌:渋谷凛、森久保乃々、大和亜季)
銀河。二次元アイドルは宇宙。
キャラクターにまつわる考察は担当P方に任せますが、この曲の美しく意味深な歌詞は歌声の主に今一度思いを巡らせたくなる魔力を秘めています。担当Pが羨ましい。
2017年後半にFuture Bass的サウンドにはまっていた私には、Taku Inoue(『Radio Happy』,『Hotel Moonside』等)によるFutureなサウンドが直球で刺さりました。
――君はどんなどんな暗い夜でも もう笑えない僕にも笑ってくれた
8. アイドルマスター ミリオンライブ!より
『瑠璃色金魚と花菖蒲』 - 白石紬(南早紀)
【アイドルマスター ミリオンライブ!】「瑠璃色金魚と花菖蒲」「地球儀にない国」試聴動画
「ミリオンライブ5年目にして待望のアプリゲーム化」「劇場でアイドルともっと触れ合える」「39人のアイドルと共にプロデュースは新たな舞台へ」
ん?39人?
「2人の新たなアイドルを加え」
ウッソだろお前お前お前――と驚愕に包まれた日も2年くらい前のように感じますが、まだ半年しか経っていないんですね。
5年目のミリオンライブに突如現れた新星2人のうちの1人、白石紬のソロ曲がこちら。
中の人は2013年81オーディションで優秀賞含む賞を総なめにした大型新人。初めての歌の仕事とは思えぬ迫力の歌声で、驚きをもって迎えられました。
中毒性のあるサウンドながら一筋縄ではいかないこの曲のリリースは、登場したばかりではっきりとは共有されていなかった”白石紬”というキャラクターに、ひとたびステージに立てば実力派という強い印象を与えることとなったのではないでしょうか。
《瑠璃色金魚が見上げるのは凛と佇んだ花菖蒲/私あなたのようになれたらもっと上手く微笑えますか》《瑠璃色金魚が知らないのは強く根を張った花菖蒲/目の前に見えるもの全てが現実ってことはないの》といった歌詞は、いま聴けば金沢から単身上京してきた原石としての紬の憧れと不安を描いているように感じられますが、きっと彼女の成長・変化とともにその印象を変化させていくのだろうと思える技巧をたっぷり秘めています。
――私あなたのようになれたら もっと上手く微笑えますか
9. アイドルマスター ミリオンライブ!より
『To...』 - 馬場このみ(高橋未奈美)
【アイドルマスター ミリオンライブ!】「To...」試聴動画
アプリゲーム『シアターデイズ』のリリースを経て、ミリオンライブの最年長・馬場このみに与えられたソロ3曲目。
ミリオンライブを知らない人に彼女を一言で説明するなら「ロリお姉さん(24)」なのですが、そんな彼女にしか歌えない、彼女だからこそ歌える一曲です。
《夜が明ける前に聴く/君と2人カーステレオ》なんて大人なシチュエーションを歌ってみたかと思えば、
《可愛いと言われてもまだ/素直に喜べないだって/妹みたく思うんでしょう?》まるで彼女自身の恋愛を描くような歌詞に、
もしもミリオンライブの作中世界で彼女のファンだったなら、ひたすら悶えてしまうのが想像できます。馬場このみの一人しゃべりラジオで新曲『To...』の音源初解禁オンエアを聴いてそのまま布団かぶって小一時間ほど悶えたい。
二次元アイドルは”作品の中で”アイドルとして活躍しているのであり、作中世界での受け止められ方まで妄想できてしまう楽曲は”よくできた”楽曲だと思います。
――ねえ甘えてみてもいい?
10. アイドルマスター シンデレラガールズより
『Kawaii make MY day!』 - メロウ・イエロー[中野有香(下地紫野), 水本ゆかり(藤田茜), 椎名法子(都丸ちよ)]
「デレステ」Kawaii make MY day! (Game ver.) 7/24 歌修正版/Updated ver メロウ・イエロー 水本ゆかり、中野有香、椎名法子 SSR
ん~~~~~~~~~~~~~~~~可愛い。尊い。《『画面の中の女の子、カワイすぎ』大問題です》!
水本ゆかり役・藤田茜さんのファンとして(そもそも藤田茜さんを知ったきっかけは水本ゆかりだったので、むしろ逆とも言えるけれど)オリジナル曲の発表に浮足立ったのも数年は昔のことように感じますが、それも今年。
デレステで狂ったようにイベントを走り、曲自体はすごい回数聞いていましたが、なぜかこの曲のMVを初めて見たのはイベント最終日の夜でした。そのあまりの可愛さに、冗談ではなく思わずしばらく脱力してしまったことを覚えています。
歌詞には《ああ オシャレをしたから会いたいな》という「Kawaii」の持つポジティブな魔力が込められていて、アイドルという職業が彼女たちに与えたものを垣間見ることができます。
3人がユニットとして初登場した2012年から実に5年の時を経てのオリジナル曲リリースで、当初から追っていたわけではない私にもそのエモさは伝わってきました。アイドルの時間は進まないけれど過ごした時間は確かに蓄積されていく、そんな二次元アイドルならではの感動の源に触れた思いです。SSAで見た彼女たちのパフォーマンスはひたすら尊かった……
――できたてのカワイイ♪ 自信もって きっと街中がランウェイ
以上、私の「二次元アイドル楽曲」2017年の10曲でした。
危うく「尊い」「すき」「感謝」ばかりが並ぶ語彙力ゼロの文になるところでしたが、二次元アイドルについて真面目に考える時間も悪くないと思いました。
2018年も、二次元アイドル界に栄えあることを願って。
2016年の10曲 ~より多くの人に聴いてほしいという思いを込めて~
2016年も、より多くの人に聴いてほしいと思うような名曲たちにたくさん出会いました。
そんな名曲たちから、自分の気持ちだけに基づいて10選。
1. 田所あずさ『It's my CUE.』
声優×ROCKの新時代到来を告げた1曲。
下にはあえてMVではなくアルバムの試聴を張りました。私としてはこの曲は拡張イントロのような位置づけのTr.1『Come on, A-Z!! (before the CUE)』と併せて聴いてほしいと思います。
2017年に向けて「タドコロック」路線はまだまだ進化していくようなので、目が離せません。
田所あずさ / It's my CUE. - 試聴動画 Part.1
“アーティスト・村川梨衣”、いける!と思った1曲。
気持ちよく伸びる歌声と、その周りを彩るように精緻に練られたきらびやかなサウンドが、歌詞とあいまって胸キュンなエレクトロポップを形作っています。
本人振り付けの、“村川梨衣=りえしょん”の魅力がぎゅっと詰まったようなMVも必見。
3. 多田李衣菜 (青木瑠璃子)『Sparkling Girl』
好き。
ポップテイストのガールズロックは数多くありますが、あの多田李衣菜がこの曲を、というところに非常にグッときました。「ロックなアイドル」ってこういうことだ、と彼女が実際にアイドルとして活躍する姿が目に浮かぶような曲になっていると思います。
サウンド的にも「Sparkling」な弾けるソーダのような爽やかバンドサウンドがドストライクでした。もっと増えないかなぁ、こういう曲。
【楽曲試聴】「Sparkling Girl」(歌:多田李衣菜)
4. 雀が原中学卓球部『灼熱スイッチ』
先立つ『PUNCH☆MIND☆HAPPINESS』で改めて「頭おかしい(褒め言葉)」と評されていた我らの神・田中秀和によって再びアニソン界にブチ込まれた灼熱な1曲。
私が推したい必聴ポイントは、花守ゆみり×田中美海という歌唱力モンスターが交互に掛け合う、まさに熱いラリーのようなBメロです。
アニメ本編も熱かったですね。騙されたと思って第1話を見てほしい。
雀が原中学卓球部 / TVアニメ 灼熱の卓球娘 オープニングテーマ「灼熱スイッチ」MV Short Ver.
5. ワルキューレ『Walküre Attack!』
これぞマクロス、という興奮を味わわせてくれた1曲。
この曲のシーンは鳥肌がヤバかった。サビのビートに呼応するように否応なく高鳴る心拍。
横アリ行゛き゛た゛い゛(日程が卒論発表直前)
ワルキューレ/1stアルバム「Walküre Attack!」クロスフェード動画_TVアニメ「マクロスΔ(デルタ)」より
6. TRUE『Divine Spell』
みんな大好きArte Refact。
TRUEさんの歌声は細かいパッセージでの発音のキレと、厚みそのままで無限に伸びていくロングトーンが強みだと感じているのですが、その両方が存分に活かされていて、聴いていると無敵になれるような気持ちよさの1曲だと思います。
TRUE / Divine Spell - MV Full Size Ver.
レガリアは見てません(小声)
アニメ『三者三葉』のキャラクターソング。キャラソンとはこうあるべきと思うような、歌声の“キャラ度”の高さがイチオシです。「あはっ☆」とか「てへっ☆」とか小田切双葉お前可愛いなほんと。
歌詞密度が非常に高く早口な曲で、これをライブでキャラ度の高いままダンス込みで(口パクではなく)歌い切った金澤さんには驚かされました。
同じCDに収録されている臼田桜(夏野菜緒)の『ZOKKON☆チェリーブロッサム』も、“オタクこういうの好きだろ”を凝縮したような曲なのでご一緒にどうぞ。
「三者三葉」キャラクターソングVol.2「小田切双葉&臼田桜」【試聴動画】
8. 高坂海美 (上田麗奈) × 田中琴葉 (種田梨沙)『Understand? Understand!』
アイドルマスター ミリオンライブ!から1曲。
聴いてるとワクワクが止まらなくて語彙力が低下するので、
くらいで許してください。
追伸:文書きさんはぜひこの曲の歌詞で海美と琴葉の1日デートSSを書いてください。
【福岡公演ダイジェスト】アイドルマスター ミリオンライブ! 3rdLIVE TOUR BELIEVE MY DREAM!! LIVE BD ダイジェスト
(2曲目です)
おそらく今年一番聴き込んだ1曲。発売前から解禁部分をひたすらリピートし、発売日にもTwitterで「細かすぎて伝わらない『HFS』のここが好き選手権」を繰り広げたほどに、TrySailの3人それぞれの歌声の新たな面の開花を感じました。
やっぱりベタな進行とビートでも、というより、ベタだからこそテンション上がるんですよ。しょうがない。
10. 上田麗奈『マニエールに夢を』
年の瀬に鮮烈な一発を食らいました。
〈上田麗奈、ソロアーティストデビュー〉の報にはひとかたならぬ驚きを覚えましたが、デビューミニアルバムから毎週1曲づつ音源が解禁されてゆくたび、“上田麗奈”という迷路のような、荒野のような、森のような空のような海のような存在に魅入られていく自分がいました。
彼女が描こうとする、平面にも静止画にも収まらない《絵画》を具現させるのに、多層性と時間性の中にある“音楽”という媒体はまたとないものだったのではないかと感じます。
その中で最初のトラックとなるこの曲は、アルバムタイトル『RefRain』つまり“繰り返し”を象徴するように、
「日々は繰り返す/いつだって時計の輪の中」
と歌う彼女の声が、刻一刻と色を変えてゆきながら、聴き手を“繰り返し”の世界へ誘うような1曲だと感じます。
上田麗奈 / Debut Mini Album「RefRain」試聴動画
以上10曲でした。
意図したわけではありませんが、すべてアニメ・ゲーム・声優ジャンルのものになりました。
2017年もアニソン・声優ソングを楽しみに生きていくことになりそうです。よろしくお願いします。